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『鉄血のオルフェンズ』完結に寄せて

本日『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』が放送終了した。
放送期間は中間に半年ほどのインターバルを挟んで2015年10月から2017年4月頭。話数は25話+25話の全50話。2011年の『機動戦士ガンダムAGE』以来久しぶりに制作された新作のガンダムシリーズということで、サンライズもバンダイナムコも制作スタッフも色々と大変だった事だろう。一視聴者として、本作に関わっていた全ての人々にまずは「お疲れさまでした」と述べたい。本当にお疲れさまでした。面白かったです、色々と。
自分にとって『鉄血のオルフェンズ』はリアルタイムで見れる時はリアルタイムで見ていたほぼ唯一の作品だった。
本作には日曜夕方からの放送なので見やすく、大ファンである大張正己さんが手がけたロボットアクションや京極尚彦さん絵コンテのOP、戦場で生きるしかない少年兵達が人並みの幸せを夢見て生き足掻く姿は見ていて面白い箇所がいくつもあった。
毎週終わった後の感想戦も楽しかった。Twitterなどを眺めていると同じシーンでも自分とは違う印象を抱いている人達が散見され、色々と興味深かった。最終話の感想戦で見かけたイオク・グシャンだけは見た瞬間吹き出してしまった。「絶対に許さない」と心に誓った。
最終話も何だかんだでリアルタイムで見てしまったので、『鉄血のオルフェンズ』に関して自分の思っていることを書いていきたい。別に理解しなくてもいいです。

まず最初に述べておくと、自分にとってこの『鉄血のオルフェンズ』と言う作品はそこまで悪い印象の作品ではない。
エンターテイメント性が強い作品ではなく、物語冒頭から最後まで一貫していたテーマがテーマなだけに説教臭さが隠しきれていないのでせいぜい佳作と言った印象ではあるが、少なくとも作劇におけるテーマの一貫性とそのテーマに対するキャラクターの決着の付け方においてはそう悪い作品でもなかった。
『鉄血のオルフェンズ』は最初から最後まで教育の必要性を説いていた。社会全体が貧困な環境では子供達は教育を受けられない。彼らの時間は「生きる」ということに費やされてしまい、足を止めて「この先の事を考える」という事ができなくなってしまう。「相手が言っていることが正しいかどうか」「自分の決断が本当に正しいかどうか」「自分が本当に求めているものが何なのか」を理解できないまま、目の前にあるものだけに夢中になればいつか破滅してしまう。その目の前に置かれたものは誰が置いたものかわからないのだから。鉄華団は教育を受けられなかった余り身の丈に合わない欲望に取り憑かれ、破滅したのである。
また教育を受けられたとしても思い上がりを捨てられず、分別のつくだけの知識を手に入れたがために増長した人間も本作の中では破滅している。具体的にはマクギリスがそれで、彼はファリド家に拾い上げられ、教育の機会を得ても何一つ変わらず、結果として自分が求めた力と自分が踏み躙ってきた人達の想いにより彼は死んだ。マクギリスの存在はギャラルホルンの変革の礎にこそなったものの更なる繁栄を約束するもので、大局的に見れば「意味がある死」ではあるものの本人にとっては意味があるものだったかは微妙なところだろう。イオク様? 最後の最後に大義に酔いしれて増長し手柄を求めた結果、おそらく無惨な姿になった事だけは分かるので、何というか「救いようがないバカ」ということなのだろう。「教育を受けられる機会と時間、そして教えてくれる人が十分に存在する環境にありながら、変わらない奴は変わらない」という辺り、本当にどうしようもないバカである。正直内政向きな人ではあったと思うので、あの辺は本当に生まれる時代を間違えたとしか言えない。可哀想。
以上の事は教育を受けられない/受けられたとしても変わらず、増長してしまった人達の話だが、では対極に位置する教育を受けられる機会を活かしきって変わっていった存在は本作の中にいるのかというと、きちんと存在している。ジュリエッタやガエリオ、クーデリア、タカキと言った人達はそうした存在である。
高等教育を受けた上で他者を理解することで変わっていったガエリオ。
ラスタルに拾い上げられ、ガエリオやイオクと共に過ごす中で学んでいったジュリエッタ。
鉄華団と触れ合う事で自分に当初の理想を地に足の着いた理想へと変えていったクーデリア。
鉄華団の中でも特に学ぶ事に真剣だったからこそ、火星の王という理想ではなく自分の身の丈にあった生活へと切り替えたタカキ。
いずれの人物も自分に与えられた「機会」を活かして変わっていった存在で、こうした人物をきちんと鉄華団やマクギリス達と対になるようにして配置している辺り、本作の「教育の必要性」は清濁の両面が描かれていたように思う。単に「勉強しないとこうなる」だけでは上から目線の説教にしか見えないが、「勉強することによる意味」と合わせて提示するのなら「この『少年兵』という題材にも意味があったのでは」と思うのだ。まあそこ以外の点――例えば「マクギリスやオルガがいきなり小物に化けた」とか「そこそこの話数を割いたモビルアーマー編がそこまで重要ではないのはどうなのか」とかはどうしようもないが。

メインストーリーについては以上のとおりだが、メカ周りについては本当に凄かった。
『鉄血のオルフェンズ』のモビルスーツ達はいずれもフレーム構造を意識させるデザインになっているが、それだけに共通点と相違点の両者がせめぎ合い、独特の魅力を放っていたように思う。
ガンダムフレームを採用しているガンダム達は物語が進むに連れてシルエットそのものを変化させ、それぞれの乗り手に合わせた異形の進化を遂げていく。どんどん人間からかけ離れて獣のような姿になっていくバルバトスにギミックてんこ盛りのグシオン。変形して獣のような姿になるフラウロスに、正統派の騎士系デザインからヴィダールを経て怪物と騎士の両方の側面を持ち合わせたキマリス。ガンダムバエルも色々言いたいことはあるものの、二振りの剣のみで戦う姿はシンプルで面白かった。
量産機もレギンレイズにグレイズ、テイワズの獅電などなど、プラモで欲しくなるデザインばかり最高だった。
そしてアニメではこれらのメカがギミックを見せながら動くので、ギミック好きとしてはたまらなかった。
特にキマリスヴィダールはキマリスのギミックとヴィダールのギミックの双方を見せてくれたし、マクギリスとの最終決戦では本当に何でもありな戦いっぷりに惚れてしまった。うちにはキマリスのキットがちゃんとあるぞ……。
最終話でのあまりにもあんまりなバルバトスルプスレクスもまあうん。ギミック的には面白かったよ。

日曜夕方放送枠の作品として最後になった作品がこの結末でよかったのかよくなかったのかはよく分からないが、土曜の朝から見ていたら重かっただろうし、日曜夕方で放送するアニメでよかったように思う。次からはドアサなので、ガンダムシリーズも色々と苦労することになると思うが、頑張って欲しい。出来れば次は荒木哲郎監督のガンダムが見たいです。どう考えてもドアサとは思えないぐらい激しく血が飛ぶ映像になる気がするが。
最後にこれだけは言いたい。
『鉄血のオルフェンズ』は松風雅也が良かったぞ。

『プリパラ』個人的ベストエピソード 神アイドル編

去る3月28日に『プリパラ』の最終話が放送され、約2年9ヶ月の物語に幕を下ろした。この3月28日という日は『2nd season』のラスボスを担った紫京院ひびきの誕生日翌日に当たることもあり、プリパラの外に出れるようになったファルルの学校デビューが平穏無事に終わるように見守るひびきとふわりの仲睦まじさと、ファルルが語る「友達の友達が友達になり、笑顔の輪が広がっていく」というファルル理論がとても尊く感じられる、トリコロールファンにとってはたまらない一話だった。
プリパラアイドル全員が起こした奇跡で救われたジュルルとジャニスが、プリパラ内外でアイドル達を導くポジションに落ち着いていたのも良かったように思うのだが、こういう話なのにコメディ要素があってしんみりした空気で終わらせない辺りが『プリパラ』らしい。『アイドルタイムプリパラ』へのバトンタッチも見事に演出しきっていて本当に素晴らしかった。
そんなわけで。『プリパラ』完結の余韻に浸ったまま『3rd season』のベストエピソードです。

■第九十五話:かんぺきママみれぃ!(脚本:福田裕子 絵コンテ:渡辺健一郎 演出:渡辺健一郎)

ジュルルの世話を皆で見る事になった後のみれぃの育児エピソード。ジュルルを完璧に教育して、早く女神ジュリィの姿にしようとしたみれぃだったが、ジュルルは言うことを聞かず、なかなか上手く行かない。挙句の果てに育児ノイローゼになってしまうみれぃだったが……という育児で「ありそう」と思えるエピソードなのだが、何が素晴らしいって「育児は計算通りにいかない」とした上で「計算通りいかないからこそ、計算外の喜びを子供は与えてくれる」というつなげ方をする事で、みれぃ自身のブレイクスルーになっていることだ。みれぃは今まで計算通りに順風満帆に行く事を志向して活動してきたが、このエピソードを経て少しづつ「計算の外側からやってくるもの」を受容して変わっていった。必ずしも自分の計算通りにいかないからこそ、想像以上の面白さがあると知ったからこそ、みれぃは神アイドルグランプリでも最高にポップなアイドルになれたのだろう。みれぃの物語にとっても、育児を描いたエピソードとしても本当に秀逸だった。
ところでこのエピソードで流れた「言葉に出来ない」だけは死ぬほど面白かった。センスが良すぎる。

■第一〇二話:変幻自在!ジュエルチェンジぽよ♡(脚本:福原裕子 絵コンテ:京極尚彦 演出:京極尚彦)

『ラブライブ!』や『GATE』の監督を務めた京極尚彦が絵コンテ・演出を担当したコメディ回。最初の神アイドルグランプリを終えた直後にスラップスティックコメディに振り切った回!というのが実に『プリパラ』らしいアップダウンの激しさだが、内容も「メガ姉ぇの映画撮影に参加することになった一同が、とんでもない無茶振りをさせられてしまう」と本当に何でもあり。ジュエルの交換で披露される「別の属性のアイドルだったら」はぶっ飛んでいて面白いし、普段と違ったキャラクターを演じきった声優陣の好演も光る。
シオンが「シオぽよ~!」と叫んだ時に謎の感動があるのはなぜなのか。そしてこの「シオぽよ~!」がまさかシオンの代名詞になるなんて。世の中何が起きるかわからないというか、面白いものは積極的に拾っていく『プリパラ』は恐ろしいと言わざるをえないぽよ。
ところで伊藤かな恵に大概むちゃさせていると思います。

■第一○五話:ガァルル、目覚めるでちゅーっ!!(脚本:大場小ゆり 絵コンテ:江島泰男 演出:小林浩輔)

ガァルマゲドン結成回。ボーカルドールはトモチケをパキることが出来ない。ファルルはらぁら達アイドル達のおかげでトモチケをパキれるようになったものの、ガァルル達まで出来るようになるかは分からなかった。それを知っているからこそ、あろまとみかんはガァルルとの正式なチーム結成を避けていたのだが、ガァルルの強い意志を受けてあろまとみかんが結成のための奮闘するこの一話は『プリパラ』でも屈指の名エピソードである。
あろまとみかんがガァルルとチームを結成しないのはガァルルのためと仲間思いな彼女達の優しさが溢れているし、ガァルルの強い意志を完遂するためにと奮闘する姿も勇ましい。自分を仲間だと認めてくれたあろまとみかんのために、そしてあろまとみかんと同じチームで歌いたい!と言う思いのために、トモチケをパキって倒れそうになるところを堪え、きちんと交換までやり遂げたガァルルの姿は涙なしには見られなかった。
怪獣アイドルになるために頑張ってきたガァルル。そんなガァルルを仲間だと認めたあろまとみかん。
三者の友情が合わさって誕生したガァルマゲドンは天からの祝福と地獄からの呪い、そして怪獣の強い意志に守られた熱いアイドルチームである。
この直後の解散エピソードも最高だけど、この三人の結成はもっと最高なので見て。

■第百十四話:急げ!神アイドルグランプリ!(脚本:中村能子 絵コンテ:柊陽菜 演出:小林浩輔)

『3rd season』はいくつもユニットが誕生したのでその全てを取り上げているとキリがないのだが、それでもガァルマゲドンと、このトリコロール結成話は上げざるを得なかった。前者はガァルマゲドン箱推し勢として、後者は「友達なんていらない」と叫んでいたひびき様が友達と初めてトモチケ交換をしたエピソードだからだ!
ひびき様は友達に裏切られた経験から「友達なんていらない」という強い信念を抱いていた。しかしファルルやふわりだけは特別で、この二人とチームを組むために「友達」という言葉を口にできるようになるために、あれほどまで嫌っていた「努力」までしていた。それでも「友達」と言う言葉が言えなくて……そして神アイドルグランプリ当日になって……というところで、「みんな友達!」ではなく「少なくともファルルとふわりは友達だ」と叫んだ。あのときほどひびき様の成長を感じた時はなかった!あのひびき様が!ついに友達を!認めたんですよ!!
肝心のライブは翌週に持ち越されたものの、ひびき様がついに友達とチームを結成した事実に安藤と同じく涙したので上げざるを得なかった。なにげにラスボスチームの中に入るふわりってのも凄いね……。

■第一三〇話:女神の想い、ママの誓い(脚本:福田裕子 絵コンテ:山本三輪子、森脇真琴 演出:小林浩輔)

「なぜジュリィはジュルルになっていたのか。そしてジュリィはジャニスに何を残そうとしていたのか」が明かされた一話。
『プリパラ』はコメディ話が多いとは言えシリアスな部分はシリアスで、残酷な部分は残酷なのだが、「ルール厳守を優先するジャニスに、ルールよりももっと大切なものがある事を伝えようとしていたジュリィ」「しかしその事を伝えるためにジュリィは重大なルール違反をしていた」「そのルール違反の責任を取ってジュリィは消滅する」という、「プリパラ」というシステムの残酷さがむき出しになったのがこのエピソードなのだが、そうした残酷さもある反面「ジュリィのために」で一致団結して「神アイドルになって、ジュリィを救うんだ」という決意を固めるアイドル達の姿がたまらない。
「みんな友達!みんなアイドル!」は『プリパラ』のテーマだが、そこを強調するかのようなこの最終決戦のやりとりは本当によかった。全員ジュリィには恩があり、感謝がある。だからこそ救いたいという思いは皆で共有した想いの一つ。
この想いを踏まえた最終決戦はどの戦いも凄いものだった。

■第一三九話:愛フレンド友(脚本:大島のぞむ 絵コンテ:柊陽菜 演出:小林浩輔)

『プリパラ』の実質的な最終話。女神二人に打ち勝って神アイドルになったそらみスマイル。しかしシステムはルール違反を犯したジュリィを消し去ろうとする。新たな女神となったジャニスはジュリィを救うために手を出したことでジュリィと一緒に消滅。女神が失われたプリパラは崩壊の危機に陥る。らぁら達はプリパラを救えるのか。そして女神を救うことが出来るのか……という展開なのだが、最後の最後に物を言うのはやっぱり「みんな友達!みんなアイドル!」。女神の帰還を求める全てのアイドル達が力を合わせ、共に歌い、女神を取り戻す一連の流れはらぁら達がこれまでの物語で紡いできた友情が織りなす奇跡であり、必然だ。
そらみスマイルというチームになれたのも、校長とらぁらママが友情を更新できたのも、ライバルと競い合ってここまで来れたのも、そして「らぁら」という自分の名前に込められた願いをやり遂げられるようになったのも、全て全て「プリパラ」と言う場所があったからこそ。そしてプリパラで紡いだ友情があったからこそだ。
その想いを込めたアイドル全員の歌はシステムをも変える壮大な歌だ。
神アイドルという器を通して奏でられるアイドル全員の奇跡の歌。「これが見たかった」というものを詰め込んだ最高の歌は物語全体を締めくくるにふさわしいパーフェクトなライブであった。



『プリパラ』というらぁら達の物語が終わるということでベストエピソードを選出してきたが、どのエピソードも面白いだけに選ぶのがとても難しかった。メインキャラクターだけでも20人以上いるのでどうするのか悩んだが、この3+5+6本になってよかったかな、と思う。本当はノンシュガー結成回とかウサチャ初登場回とかマネージャー達がカラオケで駄弁ってる話とか色々上げたかったが、その辺の話はまたどこかで出来たら。
来週から始まる『アイドルタイムプリパラ』。しんみりした気分は今週で終わらせて、ゆめゆめはっぴーでゆめかわな視聴をしたい。

『プリパラ』個人的ベストエピソード 2nd season編

『プリパラ』が終わってしまう事を受けて先日からやり始めた個人的なベストエピソード。前回は『1st season』のベストエピソードについて書いたが、今回はドリームアイドルグランプリを巡る戦いを描いた『2nd season』のベストエピソードについて書いていきたい。
この『2nd season』から『プリパラ』は3クールアニメから4クールアニメへとスターランクアップした事や登場キャラクター数も大幅に増えた事もあり、『1st season』の時のように三本に絞り込めなかったので今回選んだのは39話から89話までの五十本の中から五本である。ドリームチームは五人で結成するものなので「五本」という数字も意味がある。それで納得してください。納得してくださいってば~!
そんなわけで。以下が『2nd season』での自分のベストエピソードである。よろしくお願いします。

■第四十三話:ドリームシアター一番乗り!クマ!(脚本:中村能子 絵コンテ:森脇真琴 演出:橋口洋介)

『2nd season』の序盤においてそらみスマイルもドレッシングパフェも、「ドリームアイドルグランプリに参加するかどうかを自分達で考えてもらう」という名目で解散させられているのだが、そらみスマイルが再結成を果たしたこのエピソードはそらみスマイルとドレッシングパフェの双方において印象深い一話だった。
そらみスマイルは互いに支え合いながら前へと確実に進む。自分達のペースを変えることなく、体力がないそふぃも決して見捨てることなく三人でゴールするために一歩づつ確実に歩んでいく。一方ドレッシングパフェは元より我が強い三人なので、ゴールが遠くにあれば三人の息はあってポテンシャル以上の実力を発揮するもののゴールが近づくと(主にドロシーの暴走で)失敗することもある。こうした関係性を三人四脚の中で描写しながら、最後までチームとしての力を目指したそらみスマイルに勝利を与える。
両チームの違いを改めて定義したこの展開は、後のドレッシングパフェ再結成やジュルルを巡るエピソードにもつながる。これだけ見ても正直大好きな一話だが、地味にアロマゲドンも熱い。ここまでのエピソードではあろまの悪戯三昧っぷりばかり目につくが、あろまはあろまでみかんの運動力があるからこそああいう事が出来ることが明かされ、二人の関係性を垣間見ることが出来る。
両者の友情をも演出するこの一話、本当に最高だ。

■第五十六話:走れ!サマドリグランプリ!(脚本:土屋理敬 絵コンテ:森脇真琴 演出:黒瀬大輔)

緑風ふわりの物語は簡単に言えば「本当の自分と他者の求める自分とのギャップをどうやって克服するのか」という話である。
パルプスで動物達に囲まれながら過ごしていたふわり。そんなふわりに自分の求めるプリンセスの素質を見出したひびきは彼女をプリパラへスカウト。パラ宿へとやってきたふわりは偶然らぁら達と出会い、共に過ごすことで「ひびきの求めるプリンセスになるだけで本当にいいのだろうか?」という悩みを抱くことになる。紆余曲折の末、ふわりはある答えを見つけるのだが、その答えを披露したこの五十六話は本当に素晴らしいの一言だ。
ひびきが送り込んだセレブリティーな4人の面白さに友達であるふわりのために全力を尽くすらぁらとドレッシングパフェ。走り回る中でより強く、より美しく紡がれていく友情。そしてその友情が結実した「ドレッシングふらわー」というチームの冒険心をくすぐるドリームシアターライブ。どれをとっても本当に本当に美しくて楽しく、プリパラらしさに溢れた一話だった。
ふわりに振られた事でひびきにとっては痛手となったものの、この時ふわりに振られていたからこそひびきにとっての転機が生まれた事を考えると色々な意味で重要な一話だったのかもしれない。

■第六十三話:トモチケは世界を救う(脚本:福田裕子 絵コンテ:菱田正和 演出:菱田正和、今中菜々)

『2nd season』からは少し余裕が出てきたからなのか、ピンポイントでとんでもない剛速球を放り込むようなコメディ回が増えているのだが、その中でも一番好きなのはこの「24.5時間テレビ回」だ。サブタイトルからも分かる通り、一話丸々24時間テレビのパロディで、友達を嘲笑する怪盗ジーニアスに友達の力を見せつけるためにらぁら達が様々な企画に挑戦するのだが、24時間テレビでありがちな企画を徹底的にパロディにしつつ、要所でひびきがティーカップを割る繰り返しのギャグ描写が面白く、テンポの良い進行もあって凄まじい満足度の一話だった。
個人的に秀逸だったのは「勝手に走り出す雨宮」。24時間テレビではチャリティーマラソンが定番の企画になっているが、『プリパラ』の24.5時間テレビではみれぃファンの雨宮が勝手に走り、勝手にゴールをする。わざわざみれぃの等身大立て看板をゴール地点に設置して勝手に走っていく姿は行き過ぎていて笑えてしまう。どこまで業を積み重ねるんだ雨宮。

■第八十話:ポップ・ステップ・ガァルル(脚本:大場小ゆり 絵コンテ:みさわしん 演出:小林浩輔)

『2nd season』のテーマの一つに「努力と天才」があり、年末に開催されたウィンタードリームアイドルグランプリは天才チーム対努力チームが激突。天才チームが勝利し、「才能のある人間以外はステージに立つ事すら許されない」という格差推奨のセレパラが誕生した。
そのことを受けて天才チームとのプリパラをかけた戦いを承諾したみれぃは心が折れ、「もう無理」とアイドルを引退することを告げて飛び出して行ってしまうのだが、そんなみれぃが再起を誓ったこのガァルルデビュー回は『2nd season』でも屈指の傑作回だろう。
確かに努力は無駄かもしれない。努力しても努力しても天才達も努力している以上、なかなか追いつくことが出来ないかもしれない。でも努力している姿は無駄になるわけではない。ステージの上で何度転んでも立ち上がり続けるガァルルの姿に勇気をもらったみれぃのように。努力は無駄かもしれないが、努力している姿は誰かの頑張る力になるのだ。
そういう姿をめが兄ぃの再起と共に丁寧に描いたこの一話は『プリパラ』を見ている/見ていないに関わらず、「努力って何?」と思っている人ほど見てほしい。

■第八十八話:キセキの鐘をならせ!(脚本:大島のぞむ 絵コンテ:坂田純一 演出:小林浩輔、今中菜々)

セレパラでシステムに負荷をかけ続けたひびきは、プリパラが再構成される過程で消去される運命にあった。助けるために咄嗟に飛び込んだふわりやあじみも消滅する危機に。らぁら達はひびき達を取り戻す奇跡を起こすためにドリームパレードを実施する!という一話なのだが、何といっても素晴らしいのはひびきが過去の呪縛から解き放たれ、自分の計画では絶対に見ることが出来なかった「アイドル全員がサイリウムエアリーで一つの世界を作り出す」という光景を「最高だ」とほめたたえた事だろう。この心変わりは唐突に見えるかもしれない。しかしそもそもひびきはプリパラをより良いものにしたかっただけなのだ。セレパラを目指していたのも、それが一番手っ取り早い方法だったからだ。そんな彼女が心の底から「最高」と言える景色を作り出せた。それも一人の天才ではなく、多くの人間達の手で。その事実は彼女がプリパラで生きていく理由として十分すぎるものなのではないだろうか。

この他にもひびき様がデビューした73話とか菱田正和監督が絵コンテを担当したひびき様との最終決戦を描いた86話とか、あじみ先生が登場した回とか『2nd season』も取り上げたい回が多すぎるのだが、全てを上げると本当にきりがないのでこの辺りで終わらせておく。
何にしてもキャラも増え、話数も増え、コメディ回も増えているのに根幹にあるのは価値観の多様性だったりして「真面目なところはとことん真面目」というのが『プリパラ』らしくて、『2nd season』も本当に本当に最高だ。ひびき様の「最高だ」の一言を聞いた時には涙が止まらなかった。本当に本当におめでとうひびき様……。
なおこの辺りで公開されたのが『映画プリパラ』だけど、最終的に十数回見てますし、『キンプリ』は三桁回見てます。ちゃん子ちゃんのデビューがまさかああなるとは誰も予想がつかなかったし、キンプリはもう最高なので6月までに早く見てください。
そんなわけで。次は『3rd season』です。



Appendix

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■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

水音

  • Author:水音
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    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

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