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『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』解法の自由度が面白さを作るという話

先日Nintendo Switchの入手に成功したので、かねてから友人から勧められていた『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』をプレイしている。自分は『ゼルダの伝説』をやるのは3DSで発売された『時のオカリナ』以来で、シリーズ全体で見てもプレイした本数そのものはおそらく片手で数えられるぐらいしかプレイしていない人間なのだが、確かにこれは「シリーズに触れているかどうか」に関係なく、万人に勧めたくなるような凄い作品だ。
本作が凄いのは「無数にある解放のその殆どを肯定してしまう」という「攻略の自由度」にある。
広大なハイラルの地には「祠」と呼ばれるスポットが120個も用意され、その120個の大半には簡単なパズルが配置されている。多くのパズルには「模範的な回答」が用意されているものの、その模範的な回答に従わなくてもクリアできてしまう。例えば梁から鎖でつりさげられた鉄球は本来なら「左右に揺らす」という解法で突破するのが正解だが、「鉄球を持ち上げて梁を一周させることでリンク一人分のスペースを確保する」ということも出来るし、Switchの本体を傾ける仕掛けはひっくり返して突破してしまってもいい。出来ること/できないことは確かに存在するものの、出来る事の大半は肯定されるため創意工夫の余地は多分にある。「火を点ける」という動作も火のついた松明でつけてもいいし火打石でつけてもいいし、敵の攻撃を利用してもいい。とにかく肯定されるのでこれがもう楽しくて仕方がない。
またこれらの攻略の自由度は別に祠の中だけに限ったものではない。今作のハイラルは広大であり、魔物達が跳梁跋扈している。一方のリンクは100年間の眠りから目覚めたばかりで力も完全には取り戻せておらず、防具も貧弱で雑魚の代表格であるボゴブリンの一撃ですら即死に等しいダメージを受けてしまう。おまけに大体の状況において敵は徒党を組んでいる。何も考えずに突っ込めば袋叩きにあって10秒もあればゲームオーバー画面を見ることが出来るのだが、本作は別に敵と真っ正面から戦うことを推奨していない。近寄られると痛いのなら近寄られる前に弓矢で頭を射抜けばいいし、そもそも近寄られるような場所に陣取らなければいい。状況に対する解法も無数にあるので、本作のリンクの「大体の場所をクライミングできてしまう」という能力を活かして、ボゴブリンが昇ってこれないような場所にこっそりよじ登って、リモコン爆弾を投げまくって爆殺するのもありであるし、滑空して音もなく近寄って上から一撃を当てるというのもありだ。何気ない状況一つを取ってみても強制されるものはなにもなく、自分の好きな方法で攻略できるので自分の好きな解法を試せばいい。自分はとにかく爆殺するのが好きなので、坂を利用して爆殺している。ふっ飛ばされたボゴブリンが崖の下に吸い込まれるように落ちていくのが大変楽しい。貴様はそこで渇いて逝け。
こうした攻略の自由度はメインストーリーにおいても貫かれている。一応本作の敵もガノンドロフであることは変わらないものの、最初に探索する始まりの台地でほぼ全てのアイテムを渡されてしまい、二つ程度の村を回った後は「ハイラルを滅ぼそうとしている災厄ガノンを倒す」という目的を完遂さえすればどこから手を付けてもいいようにデザインされている。
本作のリンクは「100年の眠りにより記憶が曖昧になってしまっている」という設定があり、「記憶を取り戻すために各地を巡りなさい」と言われるものの、最後にガノンさえ倒してしまえるのであれば記憶を取り戻さなくてもいいし、シリーズすべてに登場するマスターソードすらも必要はない。敵が持っている棍棒や拾った剣や槍程度でもガノンは倒せてしまうし、そもそもガノンを倒すことを一旦忘れて広大な大地を探索するのもありだ。サブクエストとしてそこまで多くはないものの数多くのクエストも存在しているし、民衆たちも一人一人キャラが立っている。やりこみ要素として持ち運べるアイテムの数を増加するポーチの増設や防具の強化なども用意されているので、極限まで鍛え上げた達人のリンクで戦うのもアリである。適当に歩いていても何かには出会えるような配置になっているので何も考えずに探索するのもありであるのがありがたい。『スカイリム』や『Fallout4』ではファストトラベルのスポットを探すのに躍起になりすぎてメインストーリーを完全に忘れてたけども。
とにかく「ガノンを倒すのであれば何をするのも自由」なゲームである。これは『スカイリム』『Fallout3』などの「ロールプレイの自由度」とはまた別種の面白さで、とても楽しい。わざわざ勧めてくれた友人に感謝の言葉を直接言いたいぐらいである。ありがとうの代わりに好きって言わせて。

最後に。本作は「オープンワールド」と呼ばれる事が多いが、厳密には開発者がいうように「オープンエア」と表現するのが正しいように思う。というのも本作は「世界が開かれている」ではなく「空間が開かれている」と表現する方が正しいからだ。確かに本作のハイラルは広大で開かれた大地ではあるが、本作をユニークにしているのは「空間を利用する」という事が出来るからだ。
高所によじ登って爆弾を投げる、風向きを計算に入れて敵の方に炎が燃え移るように野焼きする、山の頂上から見えた祠に滑空して近寄る、など本作は広大な大地とその空間を利用することでどんな状況でも好転させることが出来る。クライミングにしてもそうで、「どこでもよじ登れる」ということはどんな場所でも「高さを生かした戦い方が出来る」という事である。どこまで行っても立体的な戦いを実現させる本作は確かに「オープンエア」と呼ぶに相応しい。この体験はプレイしてみるまではなかなか気づきにくいものなので、気になる人はぜひプレイしてほしい。空間がただそこにあるのではなく、利用することで味方にも敵にもなるので楽しいぞ!

『KING OF PRISM PRIDE the HERO』は井内秀治への返歌だ

『KING OF PRISM PRIDE the HERO』は2014年に放送終了した『プリティーリズム・レインボーライブ』のスピンオフ作品であり、アニメ監督・菱田正和の集大成と言える作品だ。
プリティーリズム三部作に弟子である京極尚彦監督の『ラブライブ!』、親交の深い五城桜監督の『リルリルフェアリル』など、自身で「集大成」と語っていることもあって本作の中には菱田正和監督の関わった作品の要素がオマージュとして散りばめられており、菱田監督が関わった作品を知っていれば知っているほど、より深く楽しく鑑賞できる作品に仕上げられている。まさに「監督の人生が詰まった七連続プリズムジャンプ」であるが、同時に本作は井内秀治への感謝が込められた作品でもある。
菱田正和監督と井内秀治の縁はとても長い。
サンライズに入社後、制作進行として菱田監督が最初にアニメに関わったのは井内秀治監督の代表作の一つ『超魔神英雄伝ワタル』であるし、『∀ガンダム』での演出助手を経験後には井内秀治監督の『激闘!クラッシュギアTURBO』『クラッシュギアNitro』にて絵コンテと演出にて参加している。また井内秀治も菱田正和監督作品に参加している事が多く、プリティーリズムシリーズにおいても井内秀治は『オーロラドリーム』の頃から脚本・絵コンテにて参加しているし、『レインボーライブ』では「ガツンとインパクトのある話を作る最初で最後のチャンス」という菱田監督の想いから坪田文とともにシリーズ構成として参加し、一年間に渡って繰り広げられる濃密な人間ドラマを作り上げた。
『KING OF PRISM byPrettyRhythm』においては直接は参加していないものの、『レインボーライブ』で井内秀治が主に担当していた神浜コウジが中心人物の一人であること、速水ヒロの方向性をある意味決定づけた「絶対アイドル!愛・N・G!」は井内秀治が考案していたことなど間接的には影響を与えている。
悲しいことに井内秀治氏は2016年12月15日に鬼籍に入られたため、2017年6月10日公開の本作『KING OF PRISM PRIDE the HERO』を見ることはなかったのだが、本作の中では井内秀治の作品のオマージュが数多く散りばめられている。
特に仁科カヅキは『レインボーライブ』の頃から存在するプリズムジャンプ「バーニングソードブレイカー」は『クラッシュギアTURBO』のシャイニングソードブレイカーのオマージュであったが、本作で描かれるプリズムキングカップでの決戦衣装は完全に『魔神英雄伝ワタル』を意識したものであり、一新されたプリズムジャンプも「覇王翔龍剣」と明らかに『ワタル』を意識したものになっている(余談だが、タイガのプリズムジャンプは『陰陽大戦記』なので実質セルフパロディである)。加えて「プリズムショーは面白かっこいいぜ!」も『魔神英雄伝ワタル』の次回予告の締めに使われた決め台詞が元ネタだ。
また『レインボーライブ』には「『コウジとのキスシーンにおいて男を迎えに行くようにキスをするいと』という演出にしたところ、井内秀治が怒った」という制作裏話的なエピソードが存在するが、本作の中ではそのシーンのリベンジとして「コウジがリードする形でいとにキスをする」というシーンが登場。「井内秀治からの宿題」になっていたものをきちんと井内秀治が脚本に込めた演出になるような解答を返している。
スタッフロールのスペシャルサンクスにも井内秀治の名前がクレジットされているなど、本作からは井内秀治への愛を感じさせる描写が散見されるが、決して意味のない描写はやらない菱田監督がここまで井内秀治推しの描写を多く挿入しているのは、「井内秀治氏がいたからこそ『KING OF PRISM PRIDE the HERO』という自身の集大成とも言える作品を作ることが出来た」という感謝の想いと、「井内秀治氏が教えてくれた数々のものとともに、これからも作品を作っていく!」という意思を示したかったからではないだろうか。
そう考えると井内秀治作品へのオマージュが多いことや、最後のコウジのプリズムジャンプの内容が明らかにプリズムアフレコに向いたものではないことにも説明がつくと思うのだ。

プリティーリズムシリーズのテーマに「友情」や「絆」がある。一つ一つは些細な絆かもしれない。しかしその絆の一つ一つが束ねられればどんな奇跡だって起こすことが出来る。歴代プリズムスタァ達はそんな絆の力で奇跡を起こしてきたし、『KING OF PRISM』においてもその点は同じだった。絆は何者にも代えられない力になるのだ。
『超魔神英雄伝ワタル』から続く井内秀治氏との絆。その絆も力に変えて自他共に「集大成」と認める作品を作り上げた菱田正和監督は本当に凄い存在である。そんな二人の絆も込められた『KING OF PRISM PRIDE the HERO』は現在公開中である。是非見て欲しい。


『Fate/Grand Order』新宿のアーチャーという生物の可愛さについて

『Fate/Grand Order』が人理修復の旅に感動的な幕引きをしてから間もなく半年になろうとしています。
この半年間実に様々な出来事がありました。その全ての発想が定石に捕らわれなさすぎてこのゲームでしかまず見られないものばかりでした。そんな数々の思い出の象徴として思い出されるのが新規に追加された星5サーヴァント達です。
1月1日の宮本武蔵から始まり、この半年で新規に追加された星5サーヴァントは八騎! いずれも個性的で魅力あふれるサーヴァント達ばかりですが、その中でも一番魅力的なサーヴァントはと言うと、それはもう「新宿のアーチャー」でしょう。
「全盛期の姿で召喚される」というルールの関係上、該当するものが限られる老人として「悪性隔絶魔境 新宿」と同時に実装され、シナリオ中では記憶喪失であるが故に「新宿のアーチャー」と名乗り、ナビゲーター兼狂言回しとして八面六臂の大活躍をしたアラフィフですが、なぜこのアラフィフを自分が「一番魅力的」と称するのかというとこの男があまりにも「可愛すぎる」からであります。
新宿編での彼は熱い男でした。ハイテンションでボケもツッコミも両方を完璧にこなすオールマイティーに立ち振る舞って状況を引っ掻き回す姿がたまらなく可愛い。「くさい」と言われれば本気で傷つき、記憶喪失であることを自虐ネタとして使ってしまう。まるで「知識レベルでは知っているが、一度もやったことがないバカなことを無理をしながら全力でやっている」ような可愛さは、背伸びした子供のそれ。そんな可愛い動きを流し目がスケベかつスーツが似合うスタイルの良いアラフィフ老人がやっているのだからもう、ずるい。かわいい。
召喚された後もこのアラフィフは可愛い。なにせ自分を「悪の組織のボス」と俗物的な言葉で表しつつ、マスターのことを「裏ボス」と表現する。嫌いなものを尋ねられれば「ホームズが嫌い」といい、その理由に「イケメンなのがマジゆるさねー!!」と叫ぶ。誕生日になれば「祝え祝え!」とテンション高く祝ってくれた上に、誕生日プレゼントには鹿撃ち帽をピックアップするヴィランジョークまでかましてくれる。最終再臨を終えたときには「ともに歩んでいける」ということを喜び、感謝の言葉を口にする。「悪」「ヴィラン」がテーマとなる新宿編で登場したサーヴァントなので当然彼も悪人ではあるのですが、時たま見せる善性をジョークとテンションの高さで包み込んでしまうところが彼のヴィランとしての矜持が見えていじらしい。「慣れないこと」をテンションでゴリ押ししているという雰囲気もあり、とてもキュートですね。それを土師孝也さんが演じているので、それはもう可愛い以外の何の感情もでてこない。
こうしたキャラクターの可愛らしさの反面、攻撃手段は暴力的なのがまた新宿のアーチャーを魅力的にしているように思います。
「ミサイルや機関銃を搭載した棺桶」は完全に『ガングレイヴ』や『トライガン』のパニッシャーを意識したものに思うのですが、攻撃を仕掛けるときに排熱のために蝶の羽を模した放熱板が展開されるのが格好いい。当然のように仕込み杖を装備していて、特定のカードを最後に切った時にはその攻撃をしてくれるのもたまりませんね。B級映画好きが好きなものを積んで、本人の可愛さとのアンバランスさで魅力をより強調してくるのはずるすぎます。宝具では一斉射撃しながら突撃して至近距離での砲撃を行うし……あの戦闘スタイルは彼の趣味なんですかねぇ……。
そんな戦闘スタイルの一方でスキルやカード構成はもの凄く「黒幕」なのも素晴らしい。
邪智のカリスマで最前線で暴れ回らせたいアタッカーを大幅に強化する動きを基本としつつ、その過程で生まれた星は魔弾の射手で集めて自分が殴りに行っても良し、「蜘蛛糸の果て」で砕いて自分のNPに還元して宝具に転じても良し。
黒幕であるがゆえに、最前線で戦うキャラクターを支援しつつも自分が出るべき場面で強気に攻めていける新宿のアーチャーは実にキャラクター通りの動きをしてくれる。アーツカード三枚構成なのも「NPを支援しつつ殴りに行ける」という点では嬉しいところ。全体的にはサブアタッカー向きのキャラクターなのでメインには据えにくいですけど、「黒幕」だからまあそういうデザインの方が格好いいですよね。うちではドレイクと一緒に運用してます。豪快で派手に立ち振る舞うドレイクと裏で糸を引く新宿のアーチャーの組み合わせは互いの動きが噛み合っててあまりにも楽しい……。

以上のように新宿のアーチャーは可愛く面白い良いアラフィフなのですが、メインストーリーでナビゲーターを務めながらも恒常ガチャに追加されませんでした。一応先日唐突に復刻されましたので運営としては定期的に復刻していく予定なのかもしれませんが、今のところは入手することが出来ません。しかしこの可愛さは抗いがたいものがあるので、次に復刻が来たら是非回してみてください。素でも可愛いですけど、デレてくると本当に天元突破級の可愛さがありますよ。


Appendix

魔界戦線


■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

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    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

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